鈴鹿8時間耐久レースへの道

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Staff 紹介

監督の武藤です。BMW Motorradでの業務とチーム監督の仕事を両立すべく頑張っています。
中林さん(副監督・日本一のHP2 Sport使い! 09ボクサー・トロフィー優勝者)
高田さん(第一ライダー)
寺本さん(第二ライダー)
片平さん(第三ライダー)
ライダー戸田さん(通称プロフェッサー戸田・冷静沈着な男)
ライダー齋藤さん(BMWライダートレーニング公認インストラクター)
2006参戦ライダー松下さん(喋って走れる優勝ライダー。バイクもマイクも離しません!!)
2006参戦ライダー今井さん(バイク乗りセレブな方々とも交流のあるイケメンライダー)
助人ライダー中井さん(300kmスポット参戦・8耐スペシャリスト)
新田さん(Tras代表)
山崎さん(PIAA)
柳沢さん(FLAT代表 兼BMWメカニック)
高木さん(BOXER SPORTS CLUB 代表)
高橋チーフメカニック(モトパーク社長)
マイスター岩間(鈴鹿は任せろ!)
近藤メカニック(草ライダー&メカの元祖)
永安メカニック(G-TRIBEチーフメカニック)
松本さん(Dr.松本。05年からチームドクター兼スポンサー)
寺嶋さん(ヤナセオート役員)
Omega法月さん(国際A級ライダーとメカニックを両立)
2006年鈴鹿8時間耐久レースを終えて。(その14)
いよいよ武藤の番です。
BMW BIKES 36号に掲載されたもの原文を掲載いたします。ちょっと長いけど時間ある人読んでください。

02年から始まった8耐、初めての年に大きなアクシデントを乗り越え198周という驚異的な結果を残して初年度を終えた。
03年、最終コーナーでの転倒、ドライブシャフトの損傷、2回の大きなアクシデントも・・・メカニック達は乗り越えた。165周完走

04年、当初、3年計画で始めた8耐プロジェクト今年が最後の年となる。
僕らの目標はただ一つ、200周を走り切る事。前哨戦の鈴鹿300kmで2位となる!今年は行ける。そんな野望を胸に3度目の鈴鹿に向かう・・・しかし、悲しくもXXF-2の車両はすべて予選落ち。やめるはずの予定が止められない。終われない。参加していないのに、止めることはできない・・・・・どうすれば良いのか!!

05年XXF-2クラスの車両は、鈴鹿300kmに3位までに入れば8耐のシード権がもらえることになった。昨年結果から「鈴鹿さん」が導き出した妙案である。本来の鈴鹿8耐には、「多種多様のバイクがそれぞれの明確な目標を持ち、色々なサウンドを響かせながら走っている姿が美しい」と思っている方々が沢山いることを知っている人たちのアイデアであろう。

僕はこのニュースを聞き、再度メカニック達を招集した。300kmに3位までにはいれば、8耐シードだ!!もう一度やろう。協力してくれ!!誰も反対はしなかった。6月鈴鹿300km・・・順調に3位を走っている。よし、このままゴールへ・・・・・!!
パワーアップしたエンジン+スリックタイヤはスタンダードのドライブシャフトの耐久性を大きく超え、再びアクシデントがチームを襲う。ドライブシャフトの交換もわずか10分という時間で行えるようになったのだが、この10分はレースにおいては掛替えの無い時間であり、我々の3位までの夢を奪ってしまった。05年8耐決勝はかろうじて、主催者の推薦で出場させて頂くものの、16周目に転倒⇒40分の修理時間の後コースへ復帰するものの、トップチーム周回数75%の規定周回(153周)にわずか1周足りず、完走扱いにならなかった。
またやめられない理由が・・・あとたった1周!!

前置きが長くなったが、
「あと1周の忘れ物を取りに鈴鹿に行きたい・・・」その気持ちが、僕やメカニック達の心中であった。
もう今年はR100Sでは走れない。過去4年間実力で予選を通過できなかった事実が!!
アクシデントが無ければ200周を走れる計算はできる!・・・。ドイツの友人にも探してもらったが、強化ドライブシャフトは入荷できない。

06年BMWが「モトGP」に参戦か?との話が出てきた頃「ムトGP企画」たるものが発足した。新型K1200ならば予選実力通過は楽勝だろう。すでにニュルブルクリンクにおける市販車のコースレコードを樹立し、我々も実際に走ってその実力は把握している。明らかに速さが違う・・・過去4年間BOXER SPORTS CLUBで参戦してきたが、会社の承諾を得て鈴鹿8耐挑戦「Unlimited:Challenge」が始まった。

3月青山Cafe246でプレス発表会を行い、大阪・東京MCショーにおいてPIAAカラーのK1200Rが一般初公開された。チーム名は「Tras & PIAA Racing」過去数年間BSCをサポートしてくれた会社の名前での参戦。
何故K1200Rなのか?正直K1200Sの方が速い・・・僕らはBMWが好きでBMWでレースをする。それは誰が見てもBMWとわかる形、又は他車とは違う格好をしている。どうして?と尋ねられても明確な答えを持って「フルカウルではない」「自らへのチャレンジ」と返事することができる。

この選択は、鈴鹿への挑戦に多くの時間と労力を費やすこととなった。
ポジション変更の為、ステアリングヘッドをK1200Sに換装。その為に外装全体を全て作らなければならない。K1200Rの外観を限りなく・・・いや、誰が見てもK1200Rとわかる形にするのがトラスさんの最初の仕事であった。
個々のパーツは全て単品オリジナルのドライカーボン作りである。

当初2台を準備することとした。1台はPower Cup仕様(1号車)の車両をドイツ本社から中古車で購入。もう1台もやはり中古の試乗車(2号車)を購入した。
この2台を比較しながら、サーキットでのテストを繰り返す。1号車の仕様に2号車を近づける作業がFLAT大森の地下工場で続けられる。何十年もフラットツインをいじってきた柳沢社長も新型4気筒は1年生・・・試行錯誤が続く。
レース仕様にする為のレギュレーション基準品は全てが手作り。それ以外は純正部品を活用する、親父のこだわりは「BMWはやわじゃねぇ」・・・

6月300km直前での話し合い。1号車/2号車どちらを走らせるか。
僕らにとって掛替えの無いことは、300kmで勝って「8耐の切符(シード権)」を入手することである。まずそれが先決であった。確実に速い1号車を温存して、2号車で走らせようという案があったが、結果は300kmで勝つこと!つまり1号車である。
戸田、中井(斎藤骨折の為、助っ人ライダー)の華麗な走りにより、47周を走りきり、クラス優勝という結果を得、8耐へのシード権を得た。第一関門は突破した!!

300km終了後、8耐本戦の為の加修が本格的に始まる。
6000回転近くにあるパワーの谷の解消の為、エアークリーナーBOX内の改良及びサブコンの取り付け。ヘッドライト等電装系の取り付け及び更なる軽量化のための部品材質の見直し・・・等。
7月3日8耐公開練習、戸田選手がいきなり18秒台・・・改良箇所は正解だった。これからが楽しみだった。その翌日の7月4日に悪夢が襲う。戸田選手がヘアピン侵入で転倒・・・タイヤの耐久(限界時のグリップ状況を確認)確認時に、タイヤ及びサスペンションのバランスが崩れ、思わぬ展開。しかし、デュオレバーの限界確認もでき、結果的には納得。しかし、骨折は予定外であった。第一ライダーの現状離脱はチームにとって大きな打撃であった。実は、第二ライダー斎藤も5月に骨折しており、7月からK1200Rに乗り始めたのが実情である。

7月27日、この日は公式練習と公開練習、鈴鹿Weekは始まった。
チームの状態は、骨折が完治していない戸田選手、練習不足が否めない斎藤選手・・・急遽助っ人でお願いしたBMW未経験の今井選手。
戸田選手は手首の調子を見ながら走行、斎藤選手はバイク全体のセッティング。今井選手はBMWに馴れる為、ひたすら走ってもらう。

7月28日公式予選、戸田選手はやはり本来の走りができなかった。実力的には16秒台は確実だったのに・・・僕らの予選実力通過は夢と敗れた。斎藤選手は自己ベストの20秒台、今井選手も23秒台と堅実な走りを見せてくれた。結果、300kmで得たシード権により、推薦による決勝進出は何とか得られた。

ここまではマシンとタイムへの拘りであったが、武藤の胃薬の基はライダーの選択にあった。決勝を誰に走ってもらうか・・・苦労を共にしてきた戸田さん、しかし手首の状況が思わしくないのは、誰が見ても承知の事実。無理をして乗ってもらうか、チーム結果のために控えてもらうか!!
29日朝、戸田さんの部屋にチームドクター松本さんと向かう。
ドクターは手首を確認し「走れないことは無いが手首の更なる悪化は否めない」。
戸田さんも「今井さんが良い走りをしてくれているので降りてもよい。後は、監督判断で決めて下さい。」 数秒間・・・色々なことが考えられた!!戸田さんの悔しさ、今後の症状悪化、チーム結果を出すこと、最高のチームオーダーは!!監督ムトウとして判断します。「今回は控えに廻って下さい・・・・・」瞬間、部屋の息は詰まった。 すぐに斎藤・今井両氏を呼び「今回は第一ライダー斎藤、第二ライダー今井で走ってもらいます。戸田さんは総監督として、ライダーのケアをしてもらいます」チームオーダーは決まった。この情報は、すでにピットで最終作業をしているメカニック達にも連絡をし、山田総監督にも、名誉監督に名称変更したことを伝えた。

午後のフリー走行で、二人のライディング愛称を調整する・・・シフトペダル、ブレーキレバー、サスペンション等、お互いに無理を言い合わない二人。タイヤ交換練習、それぞれの工具の配置、乗り降り時の確認事項の決定、ガソリン給油等、耐久レースの雰囲気が全体を包みだしてきた。
夜は皆で最終打ち合わせを兼ね焼肉パーティー。久しぶりの、緊張の前の団らんであった。

30日決勝当日。
午前中のフリー走行で、オートシフターの動きが気になる斎藤。ピットインを繰り返し、シフターの微調整を行う。黙って見つめる今井・・・それぞれの役目を実行している二人である。最後に今井が乗り、「OK出し」で終了。もう本番しかない。
11時スタート進行が始まる。第一ライダーには長い時間だ!スタートまで30分間ずっと暑い皮ツナギを着用し炎天下さらされ、更にスタート練習とスタートで2回も走らされる。そのあと60分間走行をしなければならない。頑張れ斎藤!!

11時30分スタート。
200周は当初の目標であったが、今は完走すること。我々の計画は、24周(2分25秒)+ピット作業+ピットインロス=60分であった。最終周回予定は192周!
一回目のピットアウト時間は12時30分17秒、2回目のピットアウト時間は13時30分31秒・・・・・完璧な走行が続く中、16時14分斎藤が16分を残し緊急のピットイン。10分で必要部品を交換し、16時24分、今井は6分早くピットアウトして行く。残すところ3時間・・・この6分間をどのように分担するかが、悩みどころであった。ガソリンだけで考えれば、6分=2.5周は充分走れる。それぞれの持ち時間に1周ずつ加算すれば然程無理は無いと考えた。
・・・が、総監督戸田が日没前後のライダーの疲労度を説明してくれた。6時半からのライディングは、体力だけでなく西日で西コースの走行は神経を使うそうだ。この時間帯は本来一番濃いシールドを使用し、日没後は透明なシールドを使いたいのがライダーの本音らしい。その時に更に戸田さんしか知らない情報が「斎藤、足つって辛そうだから・・・」最後の2時間を3回に分けたほうが良い。
40分、50分、30分、そうすれば西日の問題も解決だ!!本番を走ったことのあるライダーの実感のある決定である!ピット作業は全て予定通りに行われているが、最後に1回追加する8回ピット。最後のタイヤ交換はどうするか?それは、ライダー同士の感覚に任せることとし、メカニックは万全の準備をし待つ事とした。
19時30分を過ぎトップのTSRの車両がチェッカーを受け初めてゴールである。そのとき19時32分07秒・・・32秒遅れて、#135Tras&PIAA Racingもチェッカーを受ける。
8時間02分39秒、189周46位完走である。XX-F,Div2は参加車両が1台しかなくクラス優勝というりっぱなトロフィーを頂くことになる。
ここ数年の実績から見ても、189周は参加台数を問わず自慢できるものだと思う。現実、このクラスに参加する車両がいなくなったのも完走することすら難しい厳しいクラスだからだ。
最後に、ご協力頂いたスポンサーの方々はもちろん、メカニック・ヘルパーやライダーの全ての協力があったから成し遂げた快挙であることに感謝とお礼を申し上げたい。
更に誰に何を感謝したいかというと、ドイツでパワーカップに6戦参加し(2500km)、日本に来て外装は変えたものの、基本セッティングのまま鈴鹿300kmを走り、日々の練習をもこなし、一回もエンジンを開けず、ラジエターもオイルクーラーもミッションもコンピューターもスタンダードのまま、わずかマフラーを交換しただけで、日本で約3200km合計5700kmをノントラブルで走りきってくれたK1200Rにお礼を言いたい。

僕たちの8耐はまだまだ休むことはしない!!だって、当初の目標を達成していないから。次回の夏の鈴鹿を走るときは、今回やり残したことを行い、8時間で200周・1周を2分15秒で走れるように完成させてあげたい。最後まで読んでいただいた皆様、ムトウのブログ「K1200Rで挑む!鈴鹿8時間耐久レースへの道」を一度見に行ってもらいたいです。今回書き切れなかった詳細なレポートも書かれています。

☆上記レポートは、「BMW BIKES 36号」に掲載された記事の原文です。

これで2006年の8耐は終了。これから、来年に向けてのチャレンジをおこないます。
サーキットで走らないとレポートできませんが、これからはエンジンOHやパーツのレポートを書き込んでゆきます。
時々見に来てください。最後まで、読んでいただきありがとうございます。
by go_suzuka8h_bmw | 2006-10-06 12:31 | Staff紹介
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